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桜はきっとぴんくだぜ

昨日で帰国してから丁度一年が経ちました。

一年が経つと、去年の今頃はあそこにいたなーとか、丁度バカしてた頃だなーとか思えなくなります。
そんなの当然でわざわざ言うなよって感じですが、それが時の流れを感じさせるとともに、一つの区切りのように感じられます。
なのでここでもう一度、あの時、旅が終わった時、自分が何を思っていたのか振り返ろうと思いました。
今は少し立ち止まり、自分を再確認したいのです。

それだけです。



日本は不景気と地震と大津波。でも桜はきっとぴんくだぜ。






2010年03月13日のブログ


標高6088mのワイナポトシ山に登ってきた。



エベレストトレッキングの時の失敗を活かし、水分を一日4リットル以上摂取し高度順応を行う。

その甲斐あって高山病の症状は下山時までほとんど表れなかった。




山頂へのアタックは深夜1時に開始。

プラスチックブーツに大きな爪のアイゼンを装着し、ザイルで身を固定。ピッケルを使いながら一歩ずつ登っていく。



ガイドのミゲルがお前はストロングマンだと言って口笛を吹きながらどんどん進んでいく。

ほとんど休憩らしい休憩を与えてくれない。





月明かりのない星空はあたりを照らすのに十分な力をもつ。

もちろん、そんな星空を楽しむことなく前をすすんでゆく。



やはりペースが速いようだ。

先発した他の隊をどんどん追い越していく。



気づけば先頭を進んでいる。

山頂はまだ遥か彼方。





山頂のことなど考えず、一歩一歩進んでいった。

突如、ミゲルがそこで立ち止まった。

辺りを見ると、ぱっくり口をあけたクレバスが静かに、何かを待ち構えているかのように僕たちを囲んでいる。



もう進めそうなところなんてない。


しかし、ミゲルは進んだ。

その地球の割れ目のようなクレバスを避けて、急な斜面をそれと平行に進む。

斜面の角度は80度くらいに感じる。

体感だからせいぜい角度はその半分くらいだろう。


でも体はそう感じている。




P3121986.jpg




ミゲルは再び立ち止まり今度はその急斜面を真上に登り始める。


反り立つような斜面。

ふぜけんなよ、こんなん無理に決まってんじゃんかよ、と心の中で叫ぶ。



そんな声はもちろん彼には聞こえるはずもなく、早く登れ、とせかしてくる。


ペースを考えろ、と大声で怒鳴った。


登るしかなかった。

右手にピッケルを持ち、手を伸ばしたほどの高さの斜面に刺す。それが固定されたのを確認し、左手で腰に装着したザイルを強く握りながら、右足を上にあげアイゼンの爪を斜面に刺す。次にその右足とピッケルをもつ右手の力を利用して左足をあげアイゼンの爪を斜面に刺す。両足の安定を確認するとピッケルを抜いて、再び同じ動作を行う。


一歩、二歩。体を運ぶだけで相当な体力が失われる。


斜面を登る時の恐怖は今まで感じたことのないものだ。

あたりを恐怖が囲む。

それが今にも襲いかかってくる。

止まると何か大きなもののなかに放り込まれるように感じる。

鳥肌がたった。

命の安全を保障しているザイルなどその際なんの意味も成さない。

できるだけ止まらず、この先の体力など考えずに進んでいく。




IMG_7564.jpg




尾根に出た。

山頂はもうすぐそこだ。


彼方にラパスの街の夜景が見える。

そのオレンジ色の集合体はなんて空虚なんだろう。



そこから疲れなど全く感じることなく、山頂に達することができた。



山頂でのことはあまり覚えていない。

写真を何枚か撮って、他の登頂者と喜びを分かち合った。

その頃はもうあたりは明るくなり始めたんだけど、景色をゆっくりと眺めることはなかったと思う。



山頂に着いて、360度視界がひらけたときだった。

涙が流れ出てきた。


登頂したことに感動して流れてきた涙じゃなかったと思う。



この旅が終わる、これまでやってきたこの旅がなんだかカタチになったような、うれしさ、悲しさ、寂しさ、達成感、希望、なんだか説明できないいろんなものがつまった涙なんだと思う。


今となれば登ったことはなんだか夢みたいで、写真を見れば、やっぱり本当に登ったんだよなって思えるような気がするくらいだ。

山は好きだし、日本に帰っても山登りはしたいと思うけど、もうあんなに高い山、あんなに高い雪山、いろんな道具なしには登れない山にはもう二度と登らないと思う。



自分みたいな素人でも登れるような山で、山に登るなんてそれを達成したという事実以外に何の意味もないんだけれども、終わりよければ全て良しってことなのか、これで日本に帰れる、これから始まるんだってゆう気持ちがどっからかふっとわいてきた。


日本に帰るのがすごく楽しみ、あのでっかいでっかい世界。

結局はそのでっかい世界に小さな一個が何をするかなんだ。

地道に地道に、宇宙よりも大きいかもしれない、鼻くそよりも小さいかもしれないただの一個が。




流されやすくて、他人の目を気にしすぎる、自分に激甘な自分が、口だけパターンに終わらずにいくだろうか。


日本楽しみだ。





IMG_7573.jpg


IMG_7615のコピー


IMG_7621のコピー
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プロフィール

ヨネ

Author:ヨネ
一年間アジア、アフリカ、中東、南米など30ヶ国で豪遊。世界一周。 写真展『アップルワールド~真実の眼~』開催。フィリピン、マニラにて生活中。shunsukeyone@gmail.com

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